人生かっぽ

人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

みんな遅えよ、大切な言葉を言うのがと僕は怒った

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おせえよ、と思った。

おせえんだよ、そんなの、と。


大切な言葉は生きているうちに言わないと。


とそのときに、はっきりとではないけれども、思った。


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もう3年以上前の話。
祖母が入院してから、時間があれば付き添って看病をしていて。


最初こそ少し経てば戻ると思った病状も、
少しずつ少しずつ思わしくなくなり、
気づけば生と死で言えば、死の側に近くなっていた。


数週間前は受け答えをしていた祖母も、
いつしか起きているのか起きていないのかわからない状態になり
いつしか唸ったように受け答えをしているのかしていないのかわからぬ状態になり
ただそばにいてやることしかできない状態になった。


それくらいになると、ちらほらと遠方からも見舞いの人がやってくる。

いつもは見ない顔。
その見ない顔が口々に祖母の枕元で言いはじめる。


「いっつもこの人はこういうことしてくれてねえ」
「まぁず世話焼きな人でなあ」


けっこうな人が祖母を褒めるようなことを言い、
ぼくは最初こそ「ありがとうございます」とにこやかに聞いていたけれども、
少しずつなんだかイライラして来て
それが少しずつ凝り固まったものになってきた。


で、思った。


だったら、もっと早く言えよ。


と。



もちろん、本気で心配してくれている人もいたし、
その言葉が全て嘘だとも思わない。けども、


今この目の前で祖母にそれらの言葉をかけたところで
祖母に本当に聞こえてるかわからない。

「もう二度と会えないんだろう」

と、ほぼほぼ確信めいたときになって初めて
義務でも果たすかのように声をかけにくるのは
一体にして誰の目を気にしてるんだ。
と。


だったら、もっと生前に、聞いたらきっと祖母が喜ぶだろうその言葉の数々をかけてやったら、どんなに一人暮らしの祖母は喜んだんだ、と怒りを感じていた。



結局そういう言葉の数々は祖母の葬式のあとまで続いて。

ぼくはなんともやるせない気持ちになり、
けっきょくみんな亡くなった人にはやさしいんだもんな、と思っていた。



それからしばらく経って
先輩が遠くに行くと聞いたときだった。


ここぞとばかりに感謝の手紙を書き、ここぞとばかりにかけたことのない言葉を集めた。

で、その手紙にペンを走らせていると、
なんの前触れもなしに、あのときの病床の言葉の数々を思い出したわけで。



電流のような後悔と、自分へのくだらなさが広がった。



自分もおんなじことをしていたんだ、と。


自分も、もっと言っておくべきことがあったのに、
しかも言うチャンスは彼らよりも多かったのに、
結局言わなかったじゃないかと。


しかも、ぼくはおんなじことを繰り返していた。
祖母が亡くなる数年前に祖父を亡くしていて、
そのときも「もっと話したいことがたくさんあった」とか
思い返せば近いかたちの後悔をしていたのに。


ああ、ぼくじゃないか。

言葉をかけないといけなかったのは、ぼくじゃないか。

ひどい、後悔と、反省と、怒りと、情けなさ、に、ぺちゃんこにされた。



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たしかに、気恥ずかしいということもある。

今までの関係のなかに、今までなかった言葉を入れるのは、
なんだかとても気恥ずかしく、緊張して、喉まで出かかった言葉でず
いつかしかるべきときに、とか、態度で示そうとか思う。


それが身近な人であれば身近な人であるほど、むずかしい。

だから、別れぎわに言うんだと思う。
もう会わないから、どんな恥ずかしい言葉も言える。


当たり前にあったものが、
もう当たり前にはないとき、
自然と感謝がにじみ出てくる。

だからそのとき、
あなたがいてくれたことの意味とか、尊さみたいな言葉がにじみ出てくる。


けど、その言葉の数々を、勇気を持って日常で、何の特別さもない日常で相手に伝えてあげたら、
相手の日常はきっともっとぱぁっと明るくなって、
きっとその人の幸福感は増すんだよなって。


そんなことがあってからだ。

今日この瞬間にこの人がいなかったら、ぼくの生活は、人生は、どんなふうになってただろう?
とたまに問うている。



ありがとう。

とまずは言うようにした。

ありがとう。
あれ、助かったよ。
ありがとう。

と。


それから、すごいね、と。

あなたのここ、本当にすごいと思う。

と。

それくらいなら、言える。


いつも一緒にいてくれてありがとう。大好き。
なんてこと、軽々しくまだ言えないので、今はまだそれだけでも伝えたい。



人生を、かっぽしよう