人生かっぽ

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人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

それでも “二番手の女” が好きだった

恋愛 フィクション
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「二番目で良いよ」
という女性が好きだった。


彼女が、僕のことを好きだったという話じゃない。

彼女は、まったく別の誰かを想っていて。

そしてその誰かは、別の人と“本当の”恋人関係にあった。

そしてその誰かは、彼女と“内緒の”恋人関係にあった。

そして僕は、彼女が好きだった。

三角関係、なんかではない。
もはやどんなかたちだって知ったこっちゃない。


つまりこういうことだった。


彼女は、その「誰か」の二番手の女で
僕は、彼女が好きだった。一方的に。


DSC04941.JPG
DSC04941.JPG / casek


*この話は実話をもとにしたフィクションです。


相手は、と、
僕はご飯から箸を置く。
「その男性の相手の人は、知らないんだろ」
「知ってるはずないじゃん」
間髪がない返事に、
逆にその後に開く間が、鈍く分厚い。


そりゃ、そうだよな
と言うので精一杯だった。

「どれくらいになるの?」と僕。
「もう少しで1年」と彼女。
その箸は止まらない。


彼女は、知らない。僕の気持ちを。


「長いね」
「長いよ」

「どれくらいのペースで会ってるの?」
「1ヶ月に、1度くらいは、少なくとも」

「楽しい…から一緒にいるわけだもんね…?」
そりゃそうだ。
返事を聞かなくても分かる。

いや、そんなことを話したいんじゃない。


「けどさ悲しくならない?
 だって、
 相手は都合の良いときだけ
 連絡してくるわけでしょ
 こっちが本当に会いたいときには
 会えないわけじゃん」


「確かにそれはあるけど」
やっと、彼女の箸が止まる。
「それでもいい。
 たくさん幸せにしてもらってるし」

やせ我慢。
というのは
僕が思いたかったことだ。



「別れるつもりはあるの?相手は」
「ないよ。そう言っているし。
 それで私も納得してるし」


どこが良いの?
なんて死んでも聞きたくない。
こうやって会っている時間に
どうしてそんな話を聞かないといけないんだ。



やめようよ、そんなの。





きっと、寂しくなるよ。




「その」
箸を泳がして言葉を選ぶ。
「向こうの彼女さんに対して、
 罪悪感みたいなの、ない?」


「あるよ」
彼女は
食事の皿には焦点が合っていない感じになる。
箸も、また、止まる。


「あるけど、それとこれとは話は、別」


罪悪感があるのに、話は別。
意味が分からない。


「好きな人に、相手がいた。
 ただ、それだけの話。
 彼には、彼女のことを
 大切にして欲しいと思ってるし」


それは。


「それは、ズルくないか」
口をついて出た言葉に自分でびっくりした。
けど、もう引っ込められない。
うん、と自分で自分の言葉に
納得したふりしてお茶を濁す。


「これは、私の恋愛なの。個人の価値観だよ」
彼女が突き放すように言ったので
その勢いについつい僕も乗ってしまう。


「じゃあどうするの?
 相手が結婚したら?
 それでも今の関係ずっと続けられる?
 相手に子どもができたら?
 彼が彼女を大切にするってことはつまり
 きちんと彼女と向き合うってことだよ。
 それはつまり、きみとは別れるってことだよ」
 




別れろよ。


そう言えれば。


そう言いたかった。


本当はそれだけ言えれば良かった。



「それでも」


彼女はそう言って、じっと、目を合わせてくる。
僕はその目線に耐えきれなくなって外す。


「それでも
 この先そうなったとしても、
 今はまだもっと満足できる人なんて
 見つからないし、
 見つかる気がしない。」


また、沈黙が、お腹のあたりを流れる。


それが、全部だった。


聞きたい答えではなかったけど


僕が聞きたいことへの答えでは、あった。



そっか、きみは。
ずっと、僕が触れらんないとこに
いたんだな。知らなかった。


知らなかった。



DSC04940.JPG
DSC04940.JPG / casek




そこから先は、関係ない話を
時間を埋めるようにした。
平々凡々な味の食事も詰め込んだ。



それでも、と、きみが言うんだったら。


なら


それでも、僕は。




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