人生かっぽ

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人生かっぽ —佐藤大地ブログ

哲学、言葉、人生観、仕事、恋愛、など人生をかっぽするような物語をつむぎます。宮城県 仙台市を主な活動拠点とする佐藤大地のブログです。2014年からEvernote公式アンバサダー。大学院では政治学を研究していました。

コンビニバイトは向上心がないと思っていた僕と彼。「傘一本」が僕らを変えた

バイト はたらく 大学生活
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傘を買いました。
そのときに、昔のバイトのことを思い出したのです。


コンビニバイトのスタッフの、向上心のなさに飽き飽きしていたときの話。


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「ねえ、コンビニのバイトって面白いと思う?」
「なんで?」
飲みの席でのこと。
コンビニのバイトをやりだしてからしばらくして、ぼくが愚痴をもらす。
ぼくが話しかける彼も、コンビニのバイトをぼくよりもずっとやっていて、だからそんなことを言ってみた。


「やっぱコンビニ、あんまりバイト楽しくないんだよねえ」
ぼくが言うと
「なんで?」
彼が聞いてくる。
「なんつーか周りの向上心ないって言うか…うん…」
「そうなんだ…」

ぼくはいつも、彼とは自分の目標とかやりたいことについて話す仲で。

彼とはそういう点で向上心が高い同士だと思っていたから、
ぼくがそう愚痴るのも分かってくれると思っていたわけで。


だから、逆によく分からなかった。
どうして彼が自分がやるよりもずっとそういう「つまらない」コンビニのバイトをしているのか。


その理由は、「傘」だと彼は言うのでした。


「バイト、楽しいよ、おれは」
彼はぼくを否定する感じでもなく、素直にそう言う。
視線をぼくから外して、何となく、皿にある肴をつまむ。

「けど、おれも大地と一緒だったしね、最初は。
 て言うか、たぶん、もっとつまんないと思ってて、なめてた」
「そうなの?」


たまごやき!
たまごやき! / Dai44


他のバイトを見ていると受け身で仕事をしている。
もっとバイトの教育をしたほうがいい。

彼はその日、店長にそう言った。

彼には他のスタッフが漫然とレジや棚に商品を並べたり掃除をしているように見えたから。


そう言われた店長は「う〜ん」と歯切れの悪い返事だけしてそこは終わった。

彼はいつものように、なんとなくモヤっとした気持ちを抱えながら、レジに立っていた。


「その日、雨で」


雨の日、コンビニでは傘がたくさん売れる。
彼のシフトのときも傘はいつものごとくたくさん売れていた。
いつものように、ミスなく、きっちりレジをこなして売る。


一緒に入っていた高校生の男子も、隣のレジを担当していた。
その高校生の男子は、彼よりもバイト歴は長かったけれども、
「自分のほうがきっちりやって店のことを考えている」
そう思ってやっていた。

「あんまりお店のこととか、そういうのは考えてないっすね」
彼が話の流れでお店について意見を聞いたとき、そう返された。
そういうのもあって、下に見ていたところもある。


客足が落ち着いたとき。


店長が彼を、ちょっとちょっと、と手招きして店の奥のほうに呼ぶ。
なんだろ?と思って彼がそちらへ行く。

「◯◯君はさ」
店長が彼の隣でレジをしていた高校生の◯◯君の名前を出した。
「雨の日に傘を売るときにね、
 『すぐ使いますか?タグお切りしましょうか?』
 って聞くんだよ」

えっと彼が言うと、店長は続けて
「誰が教えたわけでもないんだけどね。
 うん、自分の頭を使ってきちんと考えてるんだよね」

彼はそのとき、直接言われたわけではないけれど
「他のバイトを見ていると受け身で仕事をしている。
 もっとバイトの教育をしたほうがいい」
そう言った自分の発言への回答だと思った。
やさしい店長だから直接は言わないのだろう、と。


彼は傘を売るとき、そんな確認をしていなかった。

「『きちんと』売れば良いと思っていただけだったわけ」
それを聞いて、ぼくもハッとさせられる。
そのときの店長が、今は、ぼくの目の前にいる彼だった。


「そこから彼のこと横目でずぅっと見てたら
 例えば、パスタ買うときは、はしかフォークかきちんと確認してたりね
 おれは問答無用でフォーク入れてたのにね」



その日から、ぼくも同じように他のスタッフのレジでの動きを見るようになって。

そうすると、おでんの白滝をやたらたくさん仕込んでいる。
「どうして?」と聞くと、
「白滝好きのおじさんが大体もうちょっとの時間で来るんですよ」と。

別の日になると、いつものその時間にはんぺんも多く仕込んでる。
「どうして?」と聞くと
「あのおじさん、最近はんぺんハマりだしたらしいっす」
と言う。


よく見ていないのは、ぼくのほうだった。




***


多くの人間のことを考えるだけが、大きな仕事でもないし、
そこに熱意を持つことだけが、向上心でもない。


そう気づいた話を、今年も傘を見て、思い出すのです。



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